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【中国近代作家】楊竹人「啼仙（アシダ仙人の涙）図」肉筆 紙本 着色 掛軸◆唐風表装 釈迦故事歴史画 詳細画像＆仙人解説あり◆y647

【本作品について】

１．本作品は、近代中国画家・竹人が、涙するアシダ仙人を描いた「啼仙図」です。中国作家なれば風袋一本の珍しい唐風表装に仕立てられている、豪快にて達筆な作品です。

２． 「啼仙（テイセン、なきせん）図」とは、お釈迦様がお生まれになった際の父親（浄飯王）とアシダ仙人との遣り取りの次の故事に由来します。 浄飯王は、生まれた子供を非常にかわいがりました。跡取りができたことに大変喜んで、悉達多（シッダルタ）と名前をつけました。お釈迦さまの名前をゴータマ・シッダルタといわれます。そしてこの子が将来どうなるか知りたいと思われて、よく人の未来を言い当てるといわれたアシダ仙人を城へ呼んで、悉達多太子の将来を見させました。ところが悉達多太子を一目見たアシダ仙人は、泣きだします。「このめでたい席に、不吉な涙を見せるとは、何事か」浄飯王は、大変怒りました。アシダ仙人は、「大王がお怒りになられるのも無理はありません。しかし、泣かずにおれなかった心もお聞きいただきたい。私の見るところによりますと、王子様の将来は、二つ考えられます。一つは、大変聡明な方ですので、将来は転輪王（てんりんのう）になられましよう」。「転輪王」とは、世界を治めるといわれる王のことです。浄飯王は「それではなぜ泣いたのか」と尋ねると、アシダ仙人は、「もう一つ考えられます。ひょっとするといまだかつて誰も開いたことのない高い悟りを開かれる方になる、かもしれません。ところが、私はこの年ですので、この方が高い悟りを開かれて、尊い教えを説かれる頃には、もうこの世にはおりません。こんな後にも先にもないような方にめぐりあっておりながら、その教えが聞けないなんてなんと残念なことでしょう。それが、悲しくて泣いていたのです。どうかその心情も察してお許しください」浄飯王は、もうアシダ仙人のことなんか関心がありませんので「そうか、それならもう帰っていいぞ」と、褒美をとらせて、家に帰らせました。（余談：ちなみに、お釈迦様が仏の悟りを開かれると予言したアシダ仙人の甥「迦施延（かせんねん）」が釈迦十大弟子の一人となったそうです。）参考までに右の故事を絵にした資料を掲出しておきます。

３．横二字「啼仙」賛の脇には、落款「竹人」、その上に「丁卯」とあるのは干支で100年弱前の1927年作であろうと知れます。筆者は中国近代画家にはうといが、ご覧の通り作家の技量が高いことだけは判ります。そして落款上の一字朱文円印には「楊」とありますから姓印ですので、作家名は「楊竹人」で竹人は号名です。繁体字「楊竹人」で検索すると、共産党結成初期の中華民国時代である1922年1月に、厦門の「共産主義青年団」に参加し摘発され５年入獄し公権が２年剥奪された記録が有りましたから、画家を装った共産党戦士だったわけです。そこでもう少し詳しく調べるため簡体字「竹人」で検索したところ、接続先が中国ですから安全でないサイト表示ばかり出るので調べきれませんでした。併して全二巻の「二十世紀中国書画家印款辞典」で29名の「楊」姓画家の中に「竹人」号が居るか調べたがヒットしなかった。恐らく文化大革命時に知識人として粛清されたのやもしれぬと気にかかる（引続き調査継続中也）。 そういえば今の中国でも習近平が反動一派への粛清が行われているというから、歴史は繰り返されるのだろう。

４．本品文人表装の表具仕立ては、
① これは珍しくも、通常二本垂れ下がる風袋が、中央一本の筋風袋、しかも下部のも筋風袋の続きが貫いております。唐風とはいえ、筆者初見なればこれも革命的と言わねばなるまい。
② 使用している裂地は、鉄紺（てつこん）色地に、赤金糸で吉祥唐草花紋様があしらわれております。
③ 本紙回りと両柱縁には筋廻しが施され、作品を引き締めております。
④ 軸先は、ご覧の通り唐木風黒塗木製で、先端が末広がりになっています。
⑤ 収納箱は新しい桐箱が付いております。

８．コンディションは、微シミ、オレ程度ですので、風雪耐え大事に保管されてきた様子が窺えしこと。もってこのまま充分に展覧映えが致します。






【内容】

肉筆 紙本 着色 掛軸
全体：176.2 x 66.1 ㎝ / 本紙：126 x 57 ㎝


【状態】

小シミ 折れ
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